5/3~5/5の3日間は大船渡の三陸BMXスタジアムで行われたBMXの合宿の裏方のお手伝いをしていた。「甫嶺復興交流推進センター」という旧甫嶺小学校廃校活用施設で、そこにBMXとかダイビングとか色々なアクティビティができる施設になっている。甫嶺は海・三陸鉄道・山がギュっと詰まってるザ・大船渡の浜という感じのところなんだけど、甫嶺小学校も校庭から見える太平洋とリアス式海岸の景色が圧巻で、ここに通っていたらなんとなく思い入れも深くなるんだろうなぁと思った。BMXライダーたちもビュンビュン飛んでて随分気持ちよさそうだった。
BMXというのは自転車競技のことで、なんか起伏の激しいコースでレースしたりフリースタイルでトリックを決めてたりするようなものっぽいが、あまりよくわかっていない。前々からなんとなく薄く関わってはいたものの、BMXのレースを見るのは初めてだったので結構楽しんで見れた。
合宿は小学生がメインで、最終日のレースも学年別で組まれていたので、ちょっとした横断的研究のような感じで各年代別の走りを短時間で観察することができた。まず年少が急勾配のスタートヒルを降りるだけでもすごい。極めて薄い感想になっちゃうのだけど、低学年でもなんだかすごく「それっぽい」走り方をしていて、やっぱり指導陣とみっちり合宿するとこういう感じになるのだなぁと感心していた。年齢があがるにつれて、ギアの回転の音なのか、どんどん伝わってくるエネルギーも上がってきていて、最後のエリートクラスは圧巻の走りだった。
GW中は東京方面から友人達も尋ねてくれた。ころとろさんが新作の花輪を引っさげて現れて笑った。
ギークハウスつながりの人がいると普段ネット上でしか行えないような話をリアル空間で展開することができて、改めて面白いな〜と思った。東京に行って色々近況を聞いて回るのも良さそうだなと思った。
5/6→5/7は陸前高田に新しくできた泊まれる古本屋の山猫堂に宿泊することにした。オープンから地元ではすごく話題になっていて気になっていたものの、一人だとずっと引きこもってしまっているのでこういう機会に訪ねることができてラッキーである。
山猫堂は高田のコメリのとこを右折して登っていった先にある。謎の地元向け説明だが、まぁちょっと山間の場所という感じ。するとでかい蔵が見える。立派な家だ…。
中に入ると古本やレコードやCDで空間が占められている。家具等は空き家から出てきたもので構成されている。とても良い…。
平屋建てなのだが天井がとても高い。ふかわりょうもきっと息を呑むレベルだ。おかげで様々な古物で満たされているものの、開放感すら感じるくらいだった。
なんかいい感じの音楽が流れている中で、本に囲まれて本を読むのはなかなかに贅沢な時間の使い方のように感じた。いろんなところから古物を集めているので、掛け時計がたくさんあるのだが、ほとんどすべての時計がバラバラの時間で止まっていたのも、なんなく時間的にも切り離された感覚を与えてくれてとてもよかった。この日はちょうど雨だったのだが、それもまた外部との隔絶された感じを与えてくれていていい体験だった。自分の周りすべてが本の世界に没頭できるようになっているように感じた。
店主の越戸さんとも少しお話ができて、山猫堂ができた経緯とか考えとか想いとかを伺うことができた。それから、ころとろさんの作品が岩手の僻地で誰かとつながって何らかの化学反応が起こっているのを見ているのが楽しかった。単におしゃれな空間として認知されるのも越戸さん的には少し違うようだった。僕もどちらかというと思想が詰まった「変な」場所が地方には求められてる気がする。
山猫堂で手にとった本がハンナ・アレントの『人間の条件』で、とにかく難解で何度もうたた寝してしまったのだが、その中で自由とは必要に従属しないことというのが印象的だった。アート作品なんかはまさにそういう志向な気がするし、この日山猫堂の空間に感じたものもなんとなく自由に通じている気がしている。うまくまとまらないけど。
アレントでもう一つ、アレントの挙げた3つの活動力のうち「労働」は生物学的過程に基づいており、必要に拘束されているとされる。人間は死すべきものであり、一切のものが円環にそって動いている中で人間は直線に沿って動いているとする。哲学だと人間は始まりと終わりの物語性を持つという点でどうも動物と区別しているらしい。ともかく労働は動物的なようだ。そして、「仕事」は生命を超えて永続する「世界」を作り出すとある。要は死すべきものでありながら、個体の死を越えて不死性を獲得しようとするのが仕事ということを言いたいのだと思う。世界はテーブルのようなもので、人々の真ん中に位置して、人々を結びつけると同時に人々を分離しているらしい。
なるほど、そうすると廃校や空き家に新しい物語を与えるという点で仕事なのかなぁなどとふと思った。特に山猫堂は遺品整理で出た古いものに再び目を向ける活動であるという点で、まさに不死性や世界といったワードがスッと入ってくるように思えた。
…という感じできれいにまとめようと思っているのだけど、いかんせん難解なのでおそらく何か間違ってそうで怖いのでこの辺で。
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